Copilotの普及には「伴走型のOJT」が欠かせない Microsoft ソリューションパートナー企業が語る成功の秘策

PR/ITmedia
» 2024年12月25日 10時00分 公開
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 生成AIツール「Microsoft Copilot」(以下、Copilot)の業務利用は浸透しつつあり、さまざまな規模の企業事例が登場している。機能や周辺技術のバリエーションも増えて、使いやすく身近な存在になってきた。しかし「わが社も本格導入しましょう」と号令がかかると、ためらいを感じてしまうのはなぜだろうか。

 生成AIを社内に普及させる役割のチームは「全従業員にどうレクチャーしたらよいか」という課題に直面することになる。「Microsoft Word」「Microsoft Excel」なら、文字の入力方法や関数の指定方法が身に付けば広範な業務で使えるレベルになる。しかし生成AIのプロンプト(指示文)はいわゆる「普通の言葉」を使うことができるために、再現性のある指示や命令文を作りにくく、コツをつかむまでが難しい。

 ユーザー企業がこれらのつまずきを解消する上で、Copilotの導入を支援するITベンダーが果たす役割は大きい。客先常駐型のシステム開発や、ソリューションビジネス(導入支援、運用設計、ツール設定、クラウドインフラ構築など)を手掛け、Copilotの導入支援サービスを提供しているカコムスも、この点を十分に承知していた。カコムスは「Microsoft 365 Copilot」を利用しており、社内利用から得た知見を顧客向けサービスに還元するサイクルを作ろうとしている。Copilot導入でどのような効果を実感したのか。カコムスが気付いた、「Copilotの社内普及」を成功させるポイントとは。

組織的な活動と実践トレーニングでCopilot活用を推進

 カコムス執行役員・DX事業統括本部の小原圭雄氏は、「当社は日本マイクロソフトのパートナー企業でもあり、社内にはMicrosoft ソリューション部という専門組織があります。Microsoft 365製品群のライセンス販売や構築支援、従業員様向けの研修、保守サポートなど幅広くサービスを展開しています」と説明する。

小原圭雄氏 小原圭雄氏(執行役員・DX事業統括本部)

 カコムスではMicrosoft 365 Copilotを、バックオフィス業務や、営業職、企画職などの業務の一部で利用しながら、効果が見込めるユースケースを探している段階だという。カコムスにとってCopilotの普及活動はDX戦略の一環であり、「業務改善、効率化、生産性向上を狙っています」とDX事業統括本部 本部長の仙入一孝氏は説明する。仙入氏はCopilotについて「WordやExcelと同じぐらい、日常業務に欠かせないツールとして受け入れられることを目指すべきです」と語る。その裏側には「生成AI導入に本気で取り組まなければ、今後は他社との競争に勝てなくなる」という危機感がある。「全員がCopilotの使い方を身に付ければ、皆が独自に使い方を改良できるようになります」と同氏は強調する。

仙入一孝氏 仙入一孝氏(DX事業統括本部 本部長)

 このような方針に基づき、カコムスは社内向けのセミナーを定期的に実施。さらに「このような業務を生成AIで効率化できないか」といったカジュアルな相談を受けるための窓口も設けた。「相談窓口には既に数件の問い合わせが来ており、生成AIへの期待を実感しています」と仙入氏は語る。

 組織としての生成AI普及と併せて、カコムスは実践形式のトレーニングにも力を入れている。「架空の仕事、架空のデータで学ぶよりも、実際の業務に即したトレーニングの方が実用的ですぐ役に立つ」という判断からだ。小原氏は「指導者が担当者の横にぴったり付いて仕事の様子を見ながら、『その作業はCopilotでこうやるといい』と指摘するぐらいの密度でレクチャーが必要です」と説明する。「Copilotをどう使えばいいのか分からない」という悩みを解決するなら、このぐらい踏み込む必要があるだろう。

 具体的な改善効果も見えつつある。小原氏によれば、「顧客向けの提案書作成」の一工程として「現状の課題」をまとめる作業は顕著な省力化が見られた。顧客からヒアリングした情報をCopilotで要約させてから、提案書のための文章を自動生成させれば数秒で完了。調べ物から作文まで手作業で3時間ほどかかっていた従来のプロセスと比べれば、劇的な変化だ。この他、約1時間かかった議事録作成作業も、「Microsoft Teams」のWeb会議を利用すれば短時間で済むようになった。「Microsoft PowerPoint」のフォントや書式をワンクリックで統一でき、プレゼン資料のクオリティーを効率よく向上させることも可能だ。メールの返信文を自動生成する機能を使えば、丁寧な返信文をスムーズに作成でき、日々のメール対応にかかる時間を削減できる。こうした調整業務の時短効果は1件ごとに見ると小さくても、積み重ねて1週間や1カ月単位で見れば実感できるほどのボリュームになり、ストレス軽減も見込める。「困ったらすぐにCopilotに質問する、というスタイルが社内に定着してきました。生成AIのおかげで、困ったときに自力で解決できる領域が広がっているのを感じます」(小原氏)

 ユニークな使い方としては、セミナー開催案内の作成と事後アンケートの集計がある。「『Microsoft Forms』とCopilotを組み合わせて、開催案内とアンケート項目のたたき台を作ります。そのままFormsで事後アンケートを収集すれば、回答はExcelの表データとして出力されるので、それをCopilotに読み込ませて、どのような感想が一番多かったかなどの分析をさせています」(仙入氏)

働き方の常識は変わっていく? Copilotハンズオンセミナー

 社内向けのCopilot普及活動と相互に連携する形で、カコムスはMicrosoft Base RitsumeikanでのCopilot普及活動を進めている。Microsoft Base Ritsumeikanは立命館大学の大阪茨木キャンパス内にあり、小原氏によれば「学校、企業、地域が連携しながら、イノベーションの創出や社会課題への挑戦を通じて、創発性人材の育成を目指している」のが特徴だ。Microsoft Baseは全国27カ所(2024年12月現在)に所在し、日本マイクロソフトが提供するクラウドプラットフォーム「Microsoft Azure」およびMicrosoft製品を活用し、ユーザー企業のデジタルトランスフォーメーションを実現することを目的としているが、教育機関内に開設したのはMicrosoft Base Ritsumeikanが全国初となる。ビジネスパーソンだけでなく教職員や学生の利用も多いことは、他のMicrosoft Baseにない特色だ。

朝山悟氏 朝山悟氏(グループ戦略統括本部 研究開発室 室長)

 「Microsoft Base Ritsumeikanでは、Microsoftの技術やサービスを紹介しつつ、それらをビジネスや教育に結び付けるための伴走型支援をしています」と説明するのは、Microsoft Base Ritsumeikanの運営に携わる朝山悟氏(グループ戦略統括本部 研究開発室 室長)だ。

 施設では、Microsoft 365の活用法を教えるセミナーの一環としてCopilotのレクチャーを提供している。朝山氏によれば、「Copilotを利用することによって、これまでの作業にかかる時間を短縮し、生み出された空き時間で新たな作業への取り組みや余暇を楽しむこと」という点を理解してもらう内容になっているそうだ。これはまさにMicrosoftが発している「操縦士はユーザー、Copilotはユーザーをサポートする副操縦士」というメッセージだ。セミナーのプレゼンテーション資料では、幾つかの典型的な事務作業に応じたプロンプトの作例、その結果で削減し得る時間も説明しているという。

 カコムスはMicrosoft Base Ritsumeikanの支援活動でも実践も重視し、セミナーにハンズオン(体験)のセッションを組み込んだ。ハンズオンセミナーでは、参加者が自分のPCを持ち込み、試用アカウントでCopilotなどを実際に操作する。「画面を見るだけの座学セミナーではなく、参加者が手を動かしながらCopilotを操作するハンズオンの方が、トレーニング効果が上がる印象です」と朝山氏は語り、ハンズオンの取り組みを今後も増やす意向だ。

ハンズオンセミナー Microsoft Base Ritsumeikanにおけるハンズオンセミナーの様子(出典:カコムス資料)

 Copilotのハンズオンセミナーでは、参加者からはさまざまな好評が寄せられたそうだ。セミナー終了後のアンケートには、「要約スピードが速くて驚いた」「ラリー(返信の繰り返し)が長いメールもきちんと要約できるので感動した」「体験して良さを実感したので、Copilotを導入するつもり」などの声があったという。

鍵は「安心してCopilotを試せる機会」を設けること

 カコムスの社内実践と外部向けセミナーの取り組みから、Copilotの社内普及を成功させる幾つかのヒントが見えるだろう。

 「どのようにレクチャーしたらいいのか」という悩みに対しては、実際の日常業務をサンプルとした実践型のトレーニングが解決策になり得る。指導を受けるメンバーが独り立ちできるまでは、Copilot普及に携わるチームが伴走して支援することも重要だ。

 これまで生成AIをほとんど使ったことがない人の中には、「自分の仕事が奪われるのではないか」と不安を覚えたり、逆に「生成AIは完璧な成果物を作ってくれない」とがっかりしたりするケースがある。これらの先入観を解消するには、現状の業務内容を棚卸しした上で、「生成AIでできること」と「生成AIで削減し得る時間」を作業ごとにリストアップするのが有効だ。現状の生成AIは決して万能ではないが、技術的な限界を知った上でうまく頼れば大きな省力化が見込めるということを理解してもらう必要がある。「特に、生成AIの成果物に意図しない偏見が含まれていないか、事実に即しているかファクトチェックをしてください、という点は必ずお伝えしています。教師データに固定観念や誤った社会的前提が含まれていると、生成結果に偏りが出てくることがありますから」(朝山氏)

 ただしトレーニングやセミナーだけでは、セキュリティに関する懸念を払拭するのは困難だ。Copilotの導入直後に、Microsoft 365のセキュリティや権限設定の不備が発覚し、閲覧権限がない人に全てのデータが見えてしまった――という情報漏えいトラブルが起こらないように事前に対処する必要があるという。これはCopilotの問題ではなく、Microsoft 365導入時点でのシステム設計の問題だ。特に「SharePoint Online」や「OneDrive」の権限設定はCopilot利用前に見直しを推奨する。カコムスはMicrosoft 365そのものの導入支援とセキュリティ設計、システム開発、運用支援も手掛けているので、導入支援を請け負う際にはこの点を必ずユーザー企業に注意喚起しており、「権限設定の見直し作業を引き受けることも可能です」と朝山氏は説明する。

 小原氏は、カコムスのCopilot導入支援に込める思いをこう語る。

 「当社がMicrosoft関連の支援事業を成長させる上で、Copilotは欠かせない要素になります。ただしCopilotが支援可能な業務領域は広いため、ライセンスを付与してユーザー任せに利活用が進むサービスではなく、伴走型の導入支援や構築支援を提供する意義はそこにあります。当社にはMicrosoft 365やMicrosoft Azureを熟知したエンジニアが多数在籍し、お客さまの幅広い相談をお受けしてきました。DX事業統括本部にはAIのための基盤構築やデータ分析をするチームもありますので、お気軽にご相談ください」

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