Broadcomの傘下となったVMwareは新たなプライベートクラウドのソリューションを発表した。ITのサイロ化を解消し、コスト削減や効率化、セキュリティの向上を目指す。
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VMwareの親会社であるBroadcomは、2024年8月27日(現地時間)、法人向けに強化された新ソリューションを発表した。これは、パブリッククラウドのスケールと柔軟性を生かして、プライベートクラウドのセキュリティ、回復力、パフォーマンスを実現することを目指している
Broadcomのポール・ターナー氏(VMware Cloud Foundation部門製品担当バイスプレジデント)は2024年8月第4週の説明会で、「仮想化は単一のサーバに搭載する仮想マシンの密度を高めることで、顧客のコスト削減に大きく貢献してきた。しかし、それ以上のこと、すなわちデータセンター全体を仮想化できる」と述べた。
「VMware Cloud Foundation 9」(VCF 9)は、セルフサービスによる一元的な運用や自動化ダッシュボード、データに基づく分析を提供するプラットフォームで、改良されたメモリ階層化機能を搭載している。このプラットフォームには、新旧のプライベートクラウド機能が統合されている。VCF 9はベータ版のテスト中で、リリース日は未定だという。
VMwareの新しいプライベートクラウドバンドルは、2023年11月にBroadcomがVMware Cloud Foundation(VCF)を買収して以来初のVCF製品の大規模アップデートからわずか1カ月後に登場した(注2)。
2024年7月にリリースされた「VMware Cloud Foundation 5.2」は、値上げやライセンス変更、その他のVMware製品ラインアップへの潜在的な影響に関する顧客の臆測が飛び交った数カ月後に発表された(注3)。
Broadcomのプラシャンス・シェノイ氏(クラウドプラットフォーム、インフラ、ソリューション部門マーケティング担当バイスプレジデント)は2024年8月初め、「CIO Dive」に次のように語っている。
「われわれが実施した変更のスピードや質は顧客にとって非常に挑戦的なものであり、容易な道のりではなかったと言わざるを得ない」(シェノイ氏)
シェノイ氏は、単一プラットフォームによるプライベートクラウド戦略の利点を強調した。
「顧客自身がシステムインテグレーターになる必要はない。データセンターでもCSP(クラウドソリューションプロバイダー)でもハイパースケーラーでも、どこでも運用できる単一で統合された製品とプラットフォームを構築し、それを非常に競争力のある価格で提供する」(シェノイ氏)
Broadcomの下で、VMwareはソリューションを統合し、永久ライセンスを段階的に廃止してサブスクリプションベースの価格モデルを採用することで製品の簡素化戦略を追求してきた。シェノイ氏によると、VMwareは以前、ソフトウェアの購入方法が170種類近くあり、9000近いSKU(製品管理単位)を顧客に提供していたこともあるという。
シェノイ氏によると、この移行は買収前から進められていたようだ。
「当社がずっと計画していた移行だった。Broadcomの傘下に入ったことで移行は加速したが、それが引き金となったわけではない」(シェノイ氏)
ターナー氏は説明会の中で、VMwareはBroadcomの傘下となった後のソリューションによってストレージやコンピューティングのサイロ化を解消し、システムの複雑さの軽減や業務効率化を目指していると述べた。
「従来のレガシーアーキテクチャでは、クラウドに十分なガバナンスやコントロール、機敏性を備えることができない。異なるチームが異なる環境を管理していたため、あまり効率的ではない」(ターナー氏)
Forrester Researchによると、一部の顧客はまだコスト削減や効率アップの恩恵を受けられていないという。多くのCIO(最高情報責任者)は、新しいライセンスとパッケージモデルの影響でVMwareの請求額が最大で5倍まで高騰していると、同社は最近の報告書で述べている(注4)。
Broadcomのホック・タン氏(社長兼CEO)は2024年3月のブログ投稿で、顧客に収益性の向上と市場機会の提供を約束した。同社は現在、初心者向けのクラウド成熟度コンサルティングプログラムや無料のVCFトレーニングと認定を提供し、顧客の移行を円滑にするよう取り組んでいる。
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