医療機関を標的としたサイバー攻撃が増える中で、厚生労働省は医療機関のサイバーセキュリティ対策を義務化した。物理環境から仮想環境への移行が進む中、セキュリティを担保し、短期導入が可能で、省スペースで拡張性を持つITインフラが求められている。病院が抱える課題とそれを解決するITインフラについて、レノボの担当者に聞いた。
ランサムウェアなど、医療機関を標的としたサイバー攻撃が増えている。これに対して厚生労働省は、2023年4月に医療法施行規則を改正。医療機関のサイバーセキュリティ対策を義務化した。同時に2024年度の診療報酬改定において、診療録管理体制加算の見直しを行った。その中で、主に医療機関は電子カルテの保全のためのサイバーセキュリティ体制が評価される仕組みとなり、サイバーセキュリティが単なる義務に終わらず、体制を整備している医療機関が評価される制度になった。
医療機関が活用できるサイバーセキュリティ補助金も整備され始めており、東京都では電子カルテシステムを導入している医療機関向けに、対策に必要な機器類の購入・設置費用を補助する。加えて、医師の働き方改革で、医師の勤務時間について国から厳しいチェックが入ることから、院内での業務環境の改善が急務となっており、DX(デジタルトランスフォーメーション)推進も重要な課題になっている。
厚生労働省の「医療施設動態調査」によると、2023年時点で日本の病院数は約8100件ある。その中で利用されているITインフラにはさまざまな課題が存在する。まず拠点、部門ごとにIT機器を購入しているため、メーカーがバラバラで、管理が十分に行われていないという問題がある。加えて、医療データの集中管理ができておらず、運用面での課題もある。
「多くの病院がインフラ環境を統合して運用負荷を軽減したいと考えていますが、IT統括などの旗振り役がいません。そうしたこともあって、セキュリティ対策にも十分には取り組めていないのが実情です」と宮里純一郎氏(レノボ・エンタープライズ・ソリューションズ エンタープライズ営業統括本部 ヘルスケア営業部 シニアセールス・スペシャリスト)は語る。
コロナ禍の収束後、多くの病院はITインフラを物理環境から仮想環境へ移行し始めている。一方で緊急時の対応を考えて情報を院内に置きたいという考え方も強く、予算の関係からオンプレミス環境での構築が基本になっている。
「仮想化インフラは短期間で導入でき、設計から構築や仕様の変化に対応できるため、導入時点での構成の最適化が可能です。また省スペースにシステムを集約し、集中管理して安全性を確保できます。必要に応じて臨機応変に拡張でき、投資の標準化で、予算の透明化を図れることもメリットです」と白川琢朗氏(戦略製品営業本部 本部長代理)は説明する。
これに対応して、レノボは医療IT資源の有効活用、情報の共有と活用、医療・介護サービスの適切なタイミングでの提供などを目的に、デジタル技術で医療を変革する「Healthcare DX」ソリューションを提供する。レノボは総合インフラベンダーとして、サーバとストレージを中心に、小規模病院から100床以上の中規模、400床以上の大規模病院まで、ニーズに応じてオンプレミスで仮想化環境を構築する。
紙カルテが電子カルテシステムになり、エックス線検査画像もフィルムからデジタルになった。その他CTやMRI、内視鏡など検査装置も増え、その機能は高度化している。多様な画像データを管理するPACS(医療用画像管理)システムも大きな役割を果たすようになっている。
「検査装置の高度化で、画像データの解像度が高くなればなるほど、1枚当たりのデータ量も増えます。患者の個人情報も含めて、保護し、管理しなければならないデータ容量は膨大になります。そのため、データを集約し保管するために、高い信頼性を持ち、サイバー攻撃の脅威を最小限に抑えるストレージ環境が重要になります」と、阿部順一氏(戦略製品営業本部 ストレージ営業部 テクニカル・マネージャー)は述べる。
レノボはこうした病院が持つ特性に合わせて、HCI(ハイパーコンバージドインフラ)製品群である「Lenovo ThinkAgile」、サーバ/ストレージ製品群の「Lenovo ThinkSystem」を提供しており、HCIだけでなく、3Tier(3層構造型仮想化基盤)構成の構築も支援する。HCIのThinkAgileは、市場で主流となっているNutanixベースの「ThinkAgile HX」だけでなく「Microsoft Azure Stack HCI OS」搭載の「ThinkAgile MX」、VMwareベースの「ThinkAgile VX」まで、病院の規模とニーズに応じた製品を用意している。
「ThinkSystem DM/DGシリーズ」は、NetApp製ユニファイドストレージ製品のOEMで、ストレージ専用OSであるONTAPを搭載する。ONTAPはさまざまなレベルのデータ保護機能、セキュリティ機能を提供することで有名だが、最新バージョンにおいては機械学習を活用して、ランサムウェアの自動攻撃を検知できることも大きな特徴だ。
「ONTAPは暗号化されたデータやファイル操作の異常な増加、普段使われていないファイルタイプの生成などを検知すると、ランサムウェアによる攻撃と判断。スナップショットを作成し、管理者に通知します。この機能をはじめとして、私たちはお客さまにとって必要な強固なデータ保護機能を提供できます」(白川氏)
レノボは旧IBMの時代から全国の多くの病院に製品を納入してきた。その実績の上に、システムを集約したいというニーズに応えて仮想環境の構築を支援している。ここからは、ThinkAgile HCIを導入した3つの病院について見ていく。
1つ目が病床数950床で日本を代表する医療機関であるA大学病院だ。同病院は31の診療科があり、外来患者は1日平均3000人を超え、入院患者は約800人に及ぶ。その診療のために、約2500台の端末で電子カルテシステムを利用するとともに、臨床検査技術室など数十の部門システムを運用してきた。部門システムのサーバは、ブレードサーバで段階的に仮想化してきたが、仮想化基盤の老朽化やキャパシティー不足が問題になった。その解消のために導入したのがThinkAgile HX3310だった。
「HX3310を選んだのは、ベースのハードウェアが信頼性の高いレノボのサーバであり、『N+1』のクラスタをスモールスタートで構成できるためでした。これによって、ハードウェア設置スペースは従来の半分になるとともに、期待通りの高いパフォーマンスを発揮しています」(宮里氏)
2つ目が病床数290床で、1日の外来患者が700〜800人のB総合病院だ。同病院は、移転を契機に電子カルテシステムを一新。そのサーバプラットフォームとして採用したのがThinkAgile HXシリーズだ。今まで、電子カルテシステムなど増加するIT機器の管理工数、運用、設備費の負担軽減と、将来のシステム強化に向けた柔軟な拡張性を両立させることが難しかった。その解決のためにHXシリーズを導入、プロジェクトの円滑な運営のためにレノボのプロフェッショナルサービスを活用した。これによって、サーバ台数と維持コストの大幅な削減と、サーバ管理作業の効率や拡張性も向上させることができた。
導入事例の3つ目が一般病棟(116床)と血液浄化療法センター(115床)のC病院だ。同病院は電子カルテを含む多数の医療系システムが稼働する仮想化基盤の刷新に当たり、冗長性や可用性、コスト効率に優れ、人手のかからない基盤を構築したいと考えていた。そこで、低コストで高いレベルの冗長性や可用性、運用性を実現できるThinkAgile MXシリーズを導入、仮想化基盤を構築した。
「これによって、Hyper-V環境間でスムーズかつ簡単に仮想サーバを移行し、十分な冗長性を備え、シンプルに運用できる仮想化基盤を低コストで実現できました」(阿部氏)
このように、レノボは総合インフラベンダーとして、長年の実績の上に高い信頼性を持つサーバとストレージなどの製品群を用意している。さらにパートナー企業のネットワールドがネットワーク機器やセキュリティ製品を組み合わせて、医療機関にとって理想的なソリューションを提供する。
仮想環境への移行などを検討している医療機関の方は、ネットワールドにぜひ相談してほしい。
※本稿は、ネットワールドからの寄稿記事を再構成したものです。
本記事に関連して「システム導入・インフラ刷新」についてのアンケートを実施しています。回答された方から抽選で10名様にAmazonギフトカード4000円分をプレゼントいたします。ぜひ下記アンケートフォームよりご回答ください。当選発表は発送をもって代えさせていただきます。
ログイン または 会員登録(無料)いただくとアンケートフォームが表示されます。オレンジ色の「アンケートに回答する」ボタンからアンケート回答をお願いいたします。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
提供:レノボ・エンタープライズ・ソリューションズ合同会社、株式会社ネットワールド
アイティメディア営業企画/制作:ITmedia エンタープライズ編集部/掲載内容有効期限:2025年1月16日