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人材不足の中堅・中小企業を救う 「新しいセキュリティ・オペレーション」とは?

ランサムウェア攻撃への対処が求められるなか、中堅・中小企業はリソースやノウハウの不足に悩まされている。ミッドマーケットに注力するウィズセキュアはこの課題をどのように解消するのか。2025年の事業戦略から同社の展望が見えた。

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 ウィズセキュアは2025年2月28日、2025年の事業説明会を開催した。説明会では、同社の藤岡 健氏(代表執行役員社長)が2024年におけるグローバルの業績と日本における事業戦略を語った。

 中堅・中小企業を狙ったサイバー攻撃が激化する今、ミッドマーケットに注力している同社としてはどのようなソリューションを提供するのか。

中堅・中小企業の切実な悩みにどう対処するか? 2025年の展望

 藤岡氏ははじめに、グローバルの業績として以下の図を示した。


2024年度におけるWithSecureのグローバルの業績(出典:ウィズセキュアの発表資料)

 WithSecureは、クラウドベースの統合サイバーセキュリティプラットフォーム「WithSecure Elements Cloud」(以下、Elements Cloud)をはじめとした製品群「Elements Company」と、「Salesforce」向けのセキュリティソリューション「Cloud Protection for Salesforce」(以下、CPSF)、コンサルティングサービス「Cyber security consulting」という3つの柱を主要事業としている。

 コンサルティングサービスについてはスウェーデンのベンチャーキャピタルに事業を売却したことから、日本での事業を含めて活動停止となったため、上記の実績はElements CompanyとCPSFを合算した数字となる。

 藤岡氏は、これを踏まえて「グローバルでは毎年堅調に業績が伸び、2024年度は日本円で約183億円の売上となった。前年度比ではプラス5.5%の伸びだ。部門別で見ると、Elements Cloudが多数を占め、地域別で見ると欧州での売上がグローバルの売上の約半数を占めている。『日本及びその他の地域』という記載については、ほぼ日本のビジネスの業績だと理解してほしい」と語る。

 ウィズセキュアは2024年、ディストリビューター向けのパートナープログラム「WithSecure Partner Program」や、パートナー向けのプログラムなど、新規パートナーとの協業を開始し、パートナーと共同提供するセキュリティ運用支援サービス「Co-Security Services」とEDR(Endpoint Detection and Response)製品を組み合わせたマネージドセキュリティサービス(MSS)を提供する事業に力を入れていた。よりミドルマーケットでの存在感を発揮した結果が業績に表れたとみられる。

 藤岡氏は「いい業績を残せた背景にはパートナーとの協業が大きな役割を果たしたと理解している。この他、従来のElements製品の顧客がオンプレミスでの利用からクラウドへと移行フェーズに来ている点も業績を後押しした」と話す。

 では2025年の基本事業戦略としてはどうか。藤岡氏は2つの柱として「パートナーとのさらなる協業の推進」と「新しいセキュリティ・オペレーションの推進」を挙げた。


2025年度の日本における基本事業戦略(出典:ウィズセキュアの発表資料)

 「ディストリービューターとの協業による新規販路開拓やサービスの日本語化対応、Elements製品のオンプレミスからクラウドへの移行には引き続き注力する。これに加えて当社のターゲットが抱えがちなセキュリティリソースの不足という課題を解消するために、『Elements XDR』とCo-Security Serviceを組み合わせたマネージドサービスや、MDRの提供も予定している」(藤岡氏)

 MDRサービスは、より高度なセキュリティを要求する顧客に対して、インシデント調査やインシデントレスポンスなどを提供するもので、2025年の7月頃のリリースを計画中だ。

 この他、セキュリティベンダー各社が取り組んでいる製品へのAI機能の組み込みについても注力する計画だ。同社は2024年に生成AIベースツール「WithSecure Luminen」(以下、Luminen)をElements Cloudに組み込むことを発表した。今後は機能をアップデートした「Luminen Pro」などの提供も進めるとしている。

 最後にWithSecureのアルトゥリ・レティオ氏(製品&ポートフォリオマネジメント担当 バイスプレジデント)が登壇し、2025年の製品ロードマップを示した。


WithSecureの2025年の製品ロードマップ(出典:ウィズセキュアの発表資料)

 サプライチェーン攻撃の激化に伴い、中堅・中小企業のセキュリティ対策が急務になる今、これらの企業は一方で対策を講じるためのリソースやノウハウの不足というジレンマに陥っている。新たな開始するMDRサービスの提供やAI製品の促進、サービスの日本語化などのローカライズされた事業戦略が日本市場の顧客にどのような影響を与えるのか。引き続きウォッチしていきたい。

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