AWS re:Invent 2024 Day2 AI関連発表まとめ【Amazon Q編】AWS re:Invent 2024まとめ

AWS re:Invent 2024のDay2のAI関連の話題のうち、「Amazon Q」を総ざらいする。開発者向け、ビジネスユーザー向けの両方の発表があった。

» 2024年12月09日 15時00分 公開
[後藤大地有限会社オングス]

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 Amazon Web Services(以下、AWS)は2024年12月2〜6日(現地時間)にかけて、米ラスベガスで年次イベント「AWS re:Invent 2024」を開催している。

 Day2の基調講演では、同社でAIおよびデータ担当バイスプレジデントを務めるスワミ・シヴァスブラマニアン氏が登壇し、AWSにおけるAI関連の取り組みと、18個の新サービスについて発表した。本稿はそのうち「Amazon Q」関連の話題を総ざらいする。


業務効率化を加速させるAmazon Qのアップデート

 「Amazon Q」はAWS独自の高性能な生成AIアシスタントであり、2024年5月に一般提供が開始されて以来、さまざまなシーンで利用できるサービスを提供してきた。シヴァスブラマニアン氏はこのAmazon Qについて3つの大きなアップデートを発表した。

Amazon Q DeveloperがSWA-benchベンチマークで1位を獲得

 一つはソフトウェア開発者の支援サービスである「Amazon Q Developer」のエージェント機能が、SWE-benchベンチマークで1位を獲得しているということだ。SWE-benchはAIシステムの性能を評価するベンチマークツールの1つで、ソフトウェア開発における難問に対してAIシステムがどの程度の適切な解決策を実装できるかを評価するというものだ。評価対象の難問は「GitHub」から収集されており、実世界の問題を反映しているという点がSWE-benchの大きな特徴。すなわち、SWE-benchでの高評価の獲得は、実世界の問題の解決でも極めて高い成果を期待できるということになる。

Amazon Q DeveloperがSWA-benchベンチマークで1位を獲得(AWS公式動画より)

Amazon SageMaker CanvasでAmazon Q Developerが利用可能に

 もう一つのアップデートが、「Amazon SageMaker Canvas」(以下、SageMaker Canvas)内でAmazon Q Developerが利用可能になったということだ。SageMaker Canvasは、データの前処理から機械学習モデルのトレーニング、およびデプロイをコーディング不要で可能にするノーコードツールだ。このSageMaker CanvasにAmazon Q Developerが統合されたことで、ユーザーは自然言語でビジネス要件を入力するだけで、Amazon Q Developerがそれを解釈してSageMaker Canvasを操作し、機械学習システムを構築できるようになる。

Amazon SageMaker CanvasにAmazon Q Developergが統合(AWS公式動画より)

Amazon Q in QuickSight Scenarios

 3つ目のアップデートは「Amazon Q in QuickSight Scenarios」の登場だ。「Amazon Q in QuickSight」は、BIツールであるAmazon QuickSight内でAmazon Qを使用して自然言語でダッシュボード作成などのインサイト機能を利用可能にするというものだ。今回発表されたAmazon Q in QuickSight Scenariosは、Amazon Q in QuickSightにシナリオ分析機能を追加したもので、これによってより複雑なビジネス課題への対応が可能になった。

 具体的には、QuickSightでAmazon Qに対して自然言語でビジネス課題に対する質問を伝えるだけで、複雑なデータ分析を実行して、データの可視化や、その後の具体的なアクションを提案する。データドリブンな意思決定を迅速化したい企業には極めて有効なツールとなる。

Amazon Q in QuickSight Scenarios(AWS公式動画より)

クラウドとAIで教育格差の解消を目指す

 シヴァスブラマニアン氏は最後に、教育支援に関するAWSの取り組みについて紹介した上で、新たな支援策として「AWS Education Equity Initiative」を発表した。これは、クラウドコンピューティングとAIを活用することで世界の教育格差の解消を支援するプログラムだ。

AWS Education Equity Initiative(AWS公式動画より)

 具体的には、教育機関や教育をサポートする組織が、クラウドとAIを活用した学習ソリューションを構築できるように、5年間で最大1億ドルのAWSクレジットと、AWSのエキスパートによる技術的なアドバイスを提供する。これによって、学習ソリューションの構築を妨げる経済的および技術的な障壁を解消し、教育格差の解消につなげるとしている。

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