既報の通り、任天堂は6月5日に新型ゲーム機「Nintendo Switch 2」を発売します。
日本では本体のバリエーションに「日本語・国内専用」と「多言語対応」の2種類があり、日本語・国内専用の本体価格はスペックの割に手頃であることに注目が集まっていますが、外部ストレージが原則としてmicroSD Express限定ということもポイントです。
そもそも「microSD Express」とは何なのでしょうか。従来の「Nintendo Switch」が対応する普通の「microSD」とは何が違うのでしょうか。
【訂正:4月4日16時20分】初出時、SD Expressメモリーカードのロゴマークに関する説明に一部誤りがありました。おわびして訂正します
microSDを含む「SDメモリーカード」の規格は、SD Associationという団体が定めています。その規格は大まかに「形状」「容量/ファイルシステム」「スピードクラス/接続インタフェース」に大別されます。
形状の規格には以下の3種類があります。
物理的な形状は異なりますが、いずれも電気信号的には互換性が確保されており、変換アダプターさえあれば同じ機器で読み書きが可能です。
なお、microSDについては元々Sandiskが「TransFlash(TF)」という名称で製品化したもので、中国の新興PCメーカーではmicroSDスロットを「TFスロット」と呼称していることがあります。
容量とファイルシステムの規格には以下の3種類があります。
容量とファイルシステムについては、上位規格に対応するデバイスは下位規格のカードも使えます。例えばSDXCに対応する機器は、下位のSD/SDHC規格のカードも問題なく扱えますが、上位のSDUC規格のカードは扱えません。
スピードクラスは、その名の通りデータの書き込み速度の目安(保証速度)を示すもので、3種類のクラスが用意されています(※1)。
(※1)厳密にはスマートフォン向けの「アプリパフォーマンスクラス」もありますが、主要な指標ではないので割愛します
上記のスピードクラスは、SDメモリーカードの黎明(れいめい)期からある独自の「SDインタフェース」を用いるカードが対象です。UHSスピードクラスは、SDインタフェースの増速を図った「UHS(Ultra High Speed)」規格に対応するカード向けに設定されています。
UHSには「UHS-I」「UHS-II」「UHS-III」の3規格があり、UHS-II/IIIについては接続ピンを8個増やすことでさらなる高速化を図っています。UHS-III規格の場合、最大毎秒312MB(双方向通信時)または624MB(片方向通信時)の通信に対応します。
しかし昨今、特に動画の撮影において、より高速なアクセスを求められるようになりました。そこでSD Associationは2018年、新しいインタフェース(通信)規格として「SD Express」を策定しました。この規格ではPCでおなじみの「PCI Express」を接続インタフェースとして採用しており、UHS-II/III非対応のSDメモリーカードと比べると接続ピンが8〜9個多くなっています(※2)。これにより、最大毎秒985MBのアクセスを確保しています(※3)。
(※2)UHS-II/III規格のカードとはピン配列が異なるため、識別は可能です。なお、最近登場した「2レーン」タイプのカード(通常サイズのみ)ではさらにピンが8〜9個増えます
(※3)PCI Express 3.0接続対応の機器とカードの組み合わせの場合(PCI Express 4.0対応の機器とカードの組み合わせの場合は最大毎秒1970MB)
「SD Expressメモリーカード」は、SD Expressに対応するカードです。従来のSDメモリーカードと区別するために、SD Expressメモリーカードでは専用のロゴマークと「SD Expressスピードクラス」を設定しています。SD Expressスピードクラスにおけるデータ書き込み速度の目安(保証速度)は以下の通りです。
なお、SD ExpressメモリーカードにはSDインタフェースも備わっているので、SD Express非対応のデバイスでもSDメモリーカードとして利用可能です。ただし、その場合の読み書き速度はカードに記載のスピードクラス相当に制限されます。
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