昨今の生成AIブームを受けて、LenovoでもグローバルでAIに関する取り組みを強化している。同社では2024年からの3年間で、AI関連製品/ソリューションに対して10億ドル(約1600億円)の投資を行うとしており、パートナー企業との協業の強化も進めている。
日本法人である3社も、「AIの技術が、本質的な価値創造にどうつながるのか」という観点で、取り組みを進めていくという。
AIといえば、昨今は「自分のデータは自分で保持したい」という観点からデータのローカル保存/処理へのニーズも高まっている。一方で、特に個人ユースの場合、処理パフォーマンスを考えるとサーバ側でAIの処理を行う機会もまだまだ多い。
Lenovoグループは、クライアントデバイス(PC/スマートフォンなど)からエッジ/データセンター用サーバまで、AIに欠かせないハードウェアをグループ内で一貫して提供できる。その強みを生かして、ローカル(オンプレミス)とエッジ/クラウドの処理を有機的に組み合わせた「ハイブリッドAI」を、ユーザーの使い方やデータの使われ方に合わせて提供していくという。
日本法人である3社も、基本的にはグローバルのハイブリッドAI戦略を踏襲しつつ、日本の個人/法人/団体のニーズを踏まえた製品/サービス/ソリューションを展開していく方針だ。
レノボ・ジャパンが担うPC製品については、2025年10月に迫った「Windows 10」のサポート終了を契機とした法人/団体におけるPCリプレース需要、GIGAスクール構想の第2期(Next GIGA)に備えた学習用端末のリプレースに対処しつつ、個人向けを含めたPCにおいて「AI PC」の普及に努めるという。
AI PCという観点では、Microsoftの「新しいAI PC(Copilot+ PC)」に準拠するモデルを順次投入し、幅広いユーザー層にNPU(ニューラルプロセッサ)搭載PCを行き渡らせつつ、その普及の“鍵”を握るアプリのエコシステム構築にも注力する。
モトローラ・モビリティ・ジャパンが担うモバイル端末については、「moto AI」というAI機能の拡充と、マルチデバイス連携機能「Smart Connect」の開発によって利便性の向上に努めるという。
スマートフォン向けSoCでは、PCよりも早い段階でNPUの搭載が進んでおり、特にカメラ機能で広くAIが活用されている。モトローラとしては、カメラ機能におけるAI機能の拡充に引き続き取り組みつつ、撮影後の処理(コンテンツの生成)や、ユーザーの操作を支援する「パーソナルアシスタント」におけるAIの活用も進めていく方針だ。
その上で、同社は端末ラインアップの拡充とタッチポイント拡大、法人ビジネスの強化や「Z世代」を意識したブランド認知度向上策の検討などを進めていくという。
レノボ・エンタープライズ・ソリューションズが担うインフラストラクチャー・ソリューション事業では、AIの普及によって課題として浮上した「より高いパフォーマンス」と「消費電力の削減」の両立や、企業におけるサブスクリプション式のサーバ/ストレージ/HPC(ハイパフォーマンスコンピューティング)サービス「Lenovo TruScale」の一層の推進に注力するという。
他にも、Lenovoがパートナー企業と共同でグローバル展開しているAIスイートの国内導入を進めていく。
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