Gartnerによると、2025年における世界の生成AIへの支出は6.4億ドルに達する見通しだ。PoCでの失敗率の高さなどにより生成AIに対する期待感が低下する中で、支出が増えるのはなぜか。
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Gartnerは2025年3月31日(現地時間)、2025年の世界の生成AI支出総額が、2024年から76.4%増の6440億ドルに達するとの予測を発表した。
Gartnerのジョン・デイヴィッド・ラブロック氏(ディスティングイッシュト バイス プレジデント アナリスト)は、「初期のPoC(概念実証)での失敗率の高さや現在の生成AI機能に対する不満から、生成AIのケイパビリティへの期待は低下している。その一方で、ファウンデーションモデルのプロバイダーは生成AIモデルの規模やパフォーマンス、信頼性を向上させるために毎年数十億ドルを投資している。この矛盾は2025〜2026年にかけて続く見込みだ」と述べる。
なぜ期待感が低下する中で、投資額は増えているのか。
「2024年からの野心的な内部プロジェクトは、2025年には再検証を余儀なくされるだろう。それは、CIO(最高情報責任者)がより予測可能な導入とビジネス価値を求めて、商用オフザシェルフ(COTS)型のソリューションに選択の比重を移すからだ。モデルを改善するとしても、CIOはPoCや自社開発の取り組みを減らし、代わりに既存のソフトウェアプロバイダーからの生成AI機能により注目するようになるだろう」(ラブロック氏)
Gartnerによると、生成AIへの支出は、2025年に全セグメントで大幅な成長が見込まれる(表1)。生成AIは、IT支出市場の全ての側面に変革的な影響を及ぼし、AIテクノロジーがビジネス業務や消費者向け製品にますます不可欠な存在となる未来を示唆しているとしている。
2025年の生成AI支出はサーバやスマートフォン、PCなどのハードウェアへのAI機能の追加により大きくけん引され、生成AI支出の80%がハードウェアに向けられる見込みだ。
「市場の成長軌道は、AI搭載デバイスの普及による影響を大きく受けており、2028年までにほぼ全ての消費者向けデバイス市場をAI対応製品が占める見通しだ。しかし、消費者はこれらの機能を追い求めているわけではない。メーカーがAIを消費者向けデバイスの標準機能として組み込むことで、消費者はそれらを購入せざるを得なくなるだろう」(ラブロック氏)
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