多種多様なAIエージェントをどう管理すべきか。人事管理として取り組む手段もあるのではないか。そんなアプローチをワークデイの戦略から探る。
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これから企業は、多種多様なAIエージェントを効率的に管理するためにどうすればよいのか。有効な解決へのヒントになりそうなソリューションの話を聞いたので、今回はその話題を取り上げたい。
そのソリューションとは、米Workdayが2025年2月に発表した「Workday Agent System of Record」(以下、ASOR)だ。同社の日本法人ワークデイが2025年5月29日に都内ホテルで開催したプライベートイベント「Workday Elevate Tokyo 2025」の基調講演でその内容について説明したので、エッセンスを紹介して上記の疑問について考察する。
以下のエッセンスは、基調講演でスピーチしたワークデイの古市力氏(執行役社長 兼 日本地域責任者)とWorkdayのクリス・ワダ氏(プランニング担当ゼネラルマネージャー)による説明の内容を再構成して紹介する。
Workdayは、人事管理(Human Capital Management=HCM)および財務管理(Financial Management)などのエンタープライズアプリケーションをクラウドサービスで提供し、年間売上高84億4600万ドル(2025年1月期)、従業員数2万人超、グローバルの顧客数1万1000社超の実績を持つソフトウェアベンダーだ。エンタープライズアプリケーション分野ではOracleやSAP、Salesforceに次ぐ売上規模だ。
Workdayは今、自らのソリューションを「人材や財務、エージェントを管理するAIプラットフォーム」と呼び、独自の生成AI「Workday Illuminate」(以下、Illuminate)を活用して同社や顧客、パートナー企業の「×3」(スリーエックス)によるイノベーションの推進に注力している(図1)。
同社はIlluminateの業務への適用について、「Accelerate」(加速)、「Assist」(支援)、「Transform」(変革)といった段階で進めており(図2)、Transformの段階で「AIエージェントが複雑な業務プロセスに適応して最適化することで、大きなビジネス価値を提供」する形となる。
同社は現在、12種類のAIエージェントを発表し、そのうち4種類についてはリリース済みで(図3)、他も2025年中に順次リリースする計画だ。それぞれの内容については発表資料を参照していただきたい。
さて、この12種類のAIエージェントは、あくまでも同社の業務アプリケーションである人事管理や財務管理の生産性を向上させるためのツールだ。冒頭で紹介したASORはそれらのAIエージェントも合わせて、同社がこれまで人事管理で培ってきたノウハウをAIエージェントにも生かそうというソリューションだ(図4)。
古市氏はASORについて、「AIエージェントには、当社が提供するものだけでなくお客さま自身が開発したもの、そして他のベンダーが提供するものと3つのパターンがあることから、今後これらが社内で乱立するのではないかと懸念されている。既に『野良AI』といった言葉も使われ始めている。ASORはそうした懸念を払拭(ふっしょく)し、企業において従業員とAIエージェントを一元的に管理できようにするものだ」と説明した。
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